2008年8月26日火曜日

安手なショー

 もう何もいわず、読んでみてくれ。

 高校文化祭で、ポルノ騒動があった。都立代々木高校の生徒たちがポルノ上映を強行しようとしたが、先生が電源を切って、上映1分で中止されたという。

 性道徳について、日本も世界も自由化の大勢にある。なかには行きすぎと思えることがあるにしても、逆にいえば、昔の性道徳が不正直で、偽善に満ちていたことを思い起こす必要がある。性についての謹厳なお説教をする表情の下にかくれて、女性を道具として非人間的に取り扱ってきた事実を否定するのは、なかなかむずかしいことだ。

 「ポルノ」というといかにも事新しいように聞こえるが、実はホコリだらけ、相変わらずの人間蔑視観に支えられているものが大部分ではないのか。もう一つの問題は、これほどセックス物がはんらんしている世間で、子どもだけを無菌状態に封じ込めておくのは至難だという現実論がある。

 むしろ色気違いのような世相にまけず、子どもが年相応にしっかりした考えを持ってほしい、と親たちは願っている。しかし、だからといって高校文化祭でポルノ映画を上映することに賛成する気にはとてもなれない。この高校は三部制で、生徒の三分の二が18歳以上だというのが自主興行派の言い分らしい。

 では残りの三分の一の友人を締め出すつもりだったとすれば、若者のたちの連帯、友情、優しさは、どこに消えてしまったのか。それに他人のつくったポルノ映画を持ち込んで、売り物にしようという気持ちもわからない。たとえささやかであっても、自分たちで作り出したものが、自分たちの文化祭ではないか。

 「借り物の文化祭」ならば、やめた方がよろしかろう。この安手のショーに、一般生徒が批判の声をあげたと知って、うれしかった。主催者のいう「視野を広めるため」ならば、うす汚い大人の真似ごとより、やるべきことはたくさんある。

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